第一回

 

このHPを開設して、コラムを書こうと思いましたが、書きたいことは沢山あり、第1回目の投稿を何にするべきか悩みました。

 

ここをご覧になる方のなかには私達浄土真宗以外の方々も沢山いらっしゃるかと想像し、初めに書くコラムを今回のものに致しました。

 

仏教をお客様にお話しすると、私は何宗だからとか、何派であるとか、そんな返され方をすることが度々あります。私にとって、宗派とは大学の学部や、プロ野球の球団のようなそんな認識をしています。大学では医学部があり、経済学部があり、教育学部があり、法学部があり、皆それぞれ勉強して後に社会で仕事に就き、人々の役に立つことを望んでいるかと思います。おそらく、最終目的地は学部が違えど同じで、生活をするために仕事をすること、もしくは人々の役に立ちたいという想いから一生懸命に学ばれているのではないでしょうか。

 

教育を社会で最も重要だと捉え、それを学ぶことが自分自身の生き方として、最も有効な社会貢献の手段である、または医学を学んで人を治すことが最も素晴らしく自分の生き方として最良の社会貢献になると思われていることでしょう。何が一番なのか、それは全てがその人によって最良の形で正解なのではないでしょうか。学園祭や他校とのスポーツ試合などがあると、うちの大学が一番素晴らしくあって欲しいと一生懸命応援をします。また、野球球団で考えますと、私の住んでいるこの岐阜県は名古屋のお膝元であることから、中日ファンの方が多い、そして浅はかな人は自分の応援する中日と対戦するその他球団に対してときに怒りを持ってしまう方がいます。しかし、本当の野球愛とは何でしょうか。真剣にプレーする選手を勝っても負けてもとことんまで愛し続ける、また、海外に出てプレーする選手にも球界の宝だと思い応援する。

 

 

 

大学も球団も他があってこそ成長を繰り返し、ともに認め合うことで成り立っているのです。世の中で大学が一つに統一されて学部もない状態になったら、これ以上の研究は進むでしょうか?応援する野球チームがどこよりも強くなって、負けることなど一切ない、そんな球団を楽しむ野球はあるのでしょうか?

 

仏教はもともと一つなのになぜこんなに分かれたんだ、一つにならないのかとおっしゃる方がみえますが、上に述べた通り、一つになってしまっては、研究が進まず多様化する人々の個性や生活スタイルに何一つ順応できず、何一つ救う事などできなくなってしまうのだと私は思います。

 

教育に魅了された学生と同じように、座禅に魅了された禅僧が「これが一番素晴らしい」というのは当たり前のことです。密教の楽しみを知った真言などの僧侶が一番素晴らしいというのは、医学こそ世界を救うと考える医学生と同じようにあたり前なのです。我々、浄土宗や浄土真宗といったお念仏の喜びを知ったものたちが「これが最高の道である」と説くのは当然のことなのです。

 

そして、私も最近「フリースタイルな僧侶たち」という、フリーマガジンに興味を持ち、他宗派の僧侶の方と仲良くさせて頂く機会を持っていますが、私達はいがみあうことなく、お互いの宗教観を理解したいと真剣に思っています。

 

仏教には、日本仏教会という宗派を超えたつながりが深くあり、仲良くすることは仏教の創始者釈尊からの教えのなかに三宝(仏、法、僧)を敬えと定められています。

 

 

 

監督同士は意外と仲がいいものであり、選手も他球団の選手と仲がいいものであり、日本代表として海外に行くときはすべてのチームの選手が仲良くプレーします。仏教も同じく、仏様同士は当たり前に仲がよく、選手としての僧侶同士も仲がいい人も多いのです。私の尊敬する僧侶、良寛さんも禅宗の家にいったときは禅宗のおつとめをし、浄土宗の家にいけば浄土宗のおつとめをしていたと聞きます。また、一休さんも禅の人でありながらお葬式は浄土真宗の蓮如聖人にお願いされて最後を迎えています。

 

プロ野球選手が、自分のプレーで相手チームのファンをむかつかせてやろうと思っていると思いますか?きっとそうではありません。宗教家も我が教えが最高だということで他の信者を怒らせることが目的ではありません。一番勘違いをして怒ってしまうのは、テレビの前で怒り狂うファンでしかないのです。ですから、くだらない教団愛のみに縛られることなく、仏法を一つの考えとして、また、自分の信仰を他教団の教えを聞いて、再認識や自分の信仰の自信にするために全ては仏様のお話として耳を傾けるべきではないでしょうか。私自身も他の教えを聞くことは大変勉強になり、自分の浄土真宗の教えの有りがたさを再認識させて頂く良い機会であると思っています。

 

 全ての仏様は、仏教をこよなく愛する人達が怒り、嫉む事など望んでいるとは私には思えません。

あなたにとっての、最高の求道、それを大切に、そして理解を深めましょう。